Sadanori.Okamura WEBSITE
       
経歴 研究内容 主要論文・著書
WORK

銀河・銀河団・観測的宇宙論の研究

 宇宙はいかにして誕生し、どのような進化を経て今日の姿となり、今後どのような未来を迎えるのか。これを観測データに基づいて実証的に明らかにすることが観測的宇宙論の目標である。観測的宇宙論の研究テーマは、宇宙論パラメータによって規定される(一様等方な)膨張宇宙の枠組みと、その中で起こる(非一様な)構造形成の問題があり、両者は整合的に理解されるべきものである。

 我々は、可視光及び近赤外線による銀河・銀河団の観測に基づいて研究を進めている。これまでの研究テーマは、宇宙論パラメータ(ハッブル定数)と構造形成(銀河・銀河団の構造)の両分野にまたがっている。常により良質で大量の観測データを取得する事を目指してきた。そのために、利用できる既存装置を使うほか、新しい装置や設備の開発、大規模な天体画像データ処理システムのソフト開発を行ってきた。

 観測グループとして、データの精度、特に系統誤差に注意を払い、データが語っているもののみを正しく捕らえ、強引に過度の解釈をすることのないように心がけている。以下の研究は大学院生を含む多くの共同研究者と行ったものである。

木曽シュミット望遠鏡を用いた研究
・銀河の定量分類
・銀河の特異速度場
・局部超銀河団銀河のスピンベクトルの向き
・かみのけ座銀河団の構造
・おとめ座銀河団の構造
・タリー・フィシャー法によるハッブル定数の決定
モザイクCCDカメラ1, 2号機による研究
・銀河の光度関数
・かみのけ座銀河団の矮小銀河
すばる望遠鏡とSuprime-Camを用いた研究
・宇宙初期(z>3)の銀河の性質
・銀河の光度関数、星生成率の進化
・矮小銀河の性質
・銀河団の形成過程と銀河の受ける環境効果
・銀河間空間にある惑星状星雲の探査
・ほか
スローン・ディジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)(注)による研究
・遠方のクェーサー
・銀河の形態と物理量
・銀河の大局構造
・銀河計数
・ほか

(注)スローン・ディジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)は専用望遠鏡と大型CCD検出器を用いた日米独共同の超広天域天体サーベイプロジェクトである。その目標は、全天の1/4の領域を可視の5つのバンドで撮像して1億個以上の天体の位置と明るさを測定するとともに、その中の約100万個の銀河と約10万個のクェーサーを分光観測してその距離を測ることである。
専用望遠鏡は米国ニューメキシコ州に建設されている。2002年現在SDSSに参加している機関は、シカゴ大学、フェルミ国立加速器研究所、プリンストン高等研究所、日本参加グループ、ジョンズ・ホプキンス大学、マックスプランク天文学研究所、ニューメキシコ州立大学、プリンストン大学、米国海軍天文台、ワシントン大学、ピッツバーグ大学である。SDSSの望遠鏡があるアパッチポイント天文台は天体物理学研究機構(ARC)によって運営されている。SDSSプロジェクトは、アルフレッドP.スローン財団、SDSSの参加研究機関、アメリカ航空宇宙局(NASA)、アメリカ科学財団(NSF)、アメリカエネルギー省、日本の文部科学省、ドイツのマックスプランク協会からの資金によって遂行されている。

新しい装置の開発
・木曽観測所における銀河表面測光システムの開発
・モザイクCCDカメラ(1,2号機)の開発
・すばる望遠鏡主焦点広視野カメラSuprime-Camの開発